クラシックギターについて

クラシックギターとは

スチール弦を使用する「アコースティックギター」や「エレキギター」とは異なり、「クラシックギター」はナイロン弦を使用します。
ガットギターと呼ぶこともあります。
ナイロン弦のやわらかさによって、音色も優しい温かさがあります。
ほかにナイロン弦を使うギターとしてはフラメンコギターがありますが、大きく分けて同じ仲間の楽器と言えます。

クラシックギターの歴史

はじまり

ギターは非常に長い歴史を持つ楽器の一つです。
その始まりに関しては諸説ありますが、古くは紀元前にさかのぼります。
この時代には既に「串状ネックリュート」という、胴がギターのようにくびれた楽器が存在していたと言われております。
スペインでは「ビウエラ」という複弦楽器が現れ、中世には「ギターララティーナ」という撥弦楽器が誕生します。

ルネッサンス、バロックの時代

ギターの改良が徐々に行われていき、バロック期には「バロックギター」という
4コース(5コースのものもある)のギターが生まれました。
当時は複弦で1コースに弦が2本張られていました。

写真はイタリア・クレモナのバイオリン博物館に展示されているバロックギターです。 
なんとバイオリンの名器で有名なアントニオ・ストラディバリが1700年に製作したものです。(筆者撮影)

更に17世紀には、「巻き弦」という技術によって、強度の高い弦を使用出来るようになったため、
ギターは複弦から単弦に移行していきます。
イタリア・クレモナのバイオリン博物館に展示されている A.ストラディバリウスが1700年に製作したバロックギター (Photo by M. Fujita)
バロックギター
A.ストラディバリ 1700年製作
(Photo by M. Fujita)
ルネ・ラコートのレプリカギター (2014年 前田征一郎氏製作)
ルネ・ラコートのレプリカギター
(2014年 前田征一郎氏製作)

現代のギターの形へ
クラシックギターの黄金期(1)  -19世紀のギター

18世紀から19世紀にかけて使用されていたギターは、現代のギターよりも胴体が小さく、弦長も短い小型の楽器でした。
この時代のギターを「19世紀ギター」あるいはロマン派音楽の時代から「ロマンチック・ギター」と呼びます。
このころはすでに現代のギターと同じ6弦になって、今と同じ調弦で演奏されました。
ソルやアグアド、ジュリアーニなどのギタリスト・作曲家が登場し、当時のサロンの音楽界に大きな影響を与え
ギターの第一次黄金期を迎えました。

余談ですがバイオリンで有名なパガニーニもこの時代の演奏家で、バイオリンだけでなくギターの名手でもありました。
またまた、余談ですが、フォークギターで有名な「マーティン」の初代もこの時代のドイツのギター製作家です。
彼は後にアメリカに渡りその後マーティン社は、スチール弦を張ったギターを世に広め
現代のアコースティックギターの礎となりました。

クラシックギターの黄金期(2) -現代のギターの形に

19世紀後半にアントニオ・デ・トーレスにより現代のギターの形が完成します。
それと時期を同じくして、 F.タレガなどのギタリストが登場し、1920年代になるとアンドレス・セゴビアの登場により
演奏と楽器の両方が大きな発展をします。
マヌエル・ラミレス、ヘルマン・ハウザー、ロベール・ブーシェ、ホセ・ラミレス、イグナシオ・フレタなど
優れた楽器が登場し、1952年の映画「禁じられた遊び」のナルシソ・イエペスの演奏でギターは一大ブームを迎え、
多くの優れたギタリストたちの活躍で第二の黄金期を迎え現代に至っています。
F・M フレタ 1964年製
F・M フレタ 1964年製